子どもの成長と発達

中学受験を終えた子がラスト楓に来てくれました。第一志望の中高一貫校に合格してノンビリしていたのかなと思ったら、受験が終わったらすぐにロシア語の講座をとって大人にまじって勉強を始めているのだそうです。うーんいいなぁ!

そんな大きいお兄さんが来てくれると、楓塾の中に小さなさざ波が立つのです。それがまた面白いのですよね。

低学年用の子どもに作った甘口カレーにカイエンヌペッパーをかけて辛くして食べている六年生のお兄さんを見た三年生君。

「先生。僕も辛口にする」

「あれ、貴方いつも甘口のまま食べているんじゃない?これかけるとすごく辛くなっちゃうのよ」

「平気だよ。」

で、その子はいつもよりずーっと辛いカレーをお水をガブガブ飲みながら必死に食べていました。

そんな中、話題は投資の話に...。なぜならその六年生君の興味は世界の富の再分配。経済の仕組みに関心があるのです。

六年生君 「それで先生やっぱりコロナショックで株は下がったんですよね」

私 「確かに一時ほとんどの株がドーンと下がったけどね、その後に上がった銘柄もたくさんあるのよ。例えばズームはコロナになってから使う人が増えたでしょ、そういう会社の株は...」

すると黙って聞いていた三年生君が

「えぇ?株はまだ上がっていないはずだよ?」

なーんて頑張って話に割り込んでくるのです。普段とてもマイペースなお子さんなので、こういう側面があったのかと驚くやら微笑ましいやら。こういう刺激で世界が広がるのも良いですよね。

普段から生き物に興味があって、特に海の生物にとても詳しい成城楓塾の三年生君が、いろいろな種類の深海魚を綺麗に凍らせて標本にして持ってきてくれました。

どれも見たこともない変わった魚ばかり!そしてその子が一つ一つの名前や特徴を調べて教えてくれたので、ただ眺めるよりも断然面白い!みんなでひっくり返したりつっついたりしながら大いに盛り上がったのでした。

その時の様子を成城楓塾のSNSに投稿したところ沢山の方々にご覧になって頂けたようで、中にはより詳しい魚の名前をコメントしてくださった方もいらしたのです。

素晴らしい事だなと思いました。

この子はもう研究の世界に足を踏み入れたって事じゃないのかな。  研究ってこういう風に調べて発表して、意見をもらってまた考えてというコミュニケーションで進めていくものだと思うのです。大きくなったら海洋生物に関わる勉強がしたいと言っている生き物博士君。それがどんな方向に変わろうとも、これからも好きな事をどんどん追求してほしいですね。

成城楓塾でピアノを始めたばかりの2年生君。ちょっと難しい曲だったので、翌日にもう一度チャレンジすることにしました。すると次の日、前の日に出来なかったところがスムーズに弾けるようになっていたのです。

ピアノは楽譜から音階とリズムを読み、リズムを守って左右の指を一本ずつ別々に動かす、メロディーを感知する等々、生まれて初めてやる事ばかりを同時にやらなくてはいけないので、最初はかなりの負荷がかかります。

悪戦苦闘している子どもを見ていると、脳が存在しない回路を作ろうとしているのがよく分かります。その子が翌日に自然に弾けるようになっていたのは、寝ている間に脳が新しい回路を完成させたという事なのですよね。

気を良くしたその子は、保護者様の上手なリードもあって家でもピアノを毎日練習するようになりました。

ピアノに限らず子どもには、こういう事象がよく見られます。

見ていて(あ、今 凄いことが起きている!)と思うことがたくさんあります。

やはり子どもの時期の成長力は一生の中でも格別なもので本当にたくましいものです。

新しい回路を脳の中でのびのびと張り巡らせていくということは、(できる限り楽しい面白いをベースにした)自然な負荷とそれをやり遂げた達成感を小さな雪玉として、これを大切に大きな雪だるまにしていくような感じなのかなと思っています

この春から一年生さんも加わって賑やかな成城楓塾です。これからも一人一人の健やかな成長を見守りながら過ごしていきたいです。

今年度もどうぞ宜しくお願い致します。

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