作文指導をしながら考えたこと

中学入試の作文添削指導をしています。

課題は毎回、二つの問題文を読んで各々の要旨をまとめ、それぞれ考えをふまえた上で自分の考えを400字以上440字以下で述べるというものです。他の記述問題も二、三問含めて時間制限は45分です。

二つの問題文はそれ程長くはなく、内容は高度ですが分かりやすい明確な文章です。特徴的だと思うのは二つの異なる考えをまとめた上で、知識の開陳ではなく自分の意見を求めている事だと思います。

私はこの課題をみてドキュメンタリー映画、Most Likely to Succeedを思い出しました。

「AIが多くの仕事を引き受けるようになる将来を見据え、世の中は新たな仕事を創出できる人材を求めている。それは斬新なアイディアを実体験で培った高度なコミュニケーション能力をもって実現できる人…。既存の学校でそういう人材は育成できますか?」と世の中に問いかける内容だったのですが、この作文課題を見ていると、学校は真剣に先々を考えて世の中の流れに対応していると感じます。

時間制限の中で初めて読んだ他人の考えに対する自分の考えを構築するというのは、自分の核がなければ出来ないこと。小学校時代にしっかり勉強し、さらにさまざまな体験を重ね、そこから学んできた子にしか出来ません。それはまさしくこれからの社会に求められる資質だと思います。また複数の考えをふまえた上での自分の考えを他人に分かるように述べる力も、コミュニケーション能力に直結するもの。つまりこの課題はAI社会の中で生き抜く資質を確かめているようにも見えたのでした。

成城楓塾には、毎日の生活の中で自分の思ったこと、感じたこと、オヤ?とひっかかったことをそのまま書いたり、口に出して会話を続けたりすることが出来るような、しっかりした国語力を持ったお子さんが多くいらっしゃいます。そうした子どもたちが次々と読書感想文や自由研究コンクールの全国大会で入賞したり、国語の全国模試で一位をとったりするのを見ていると、日頃の言葉のキャッチボールこそが、こうした記述力を含む課題の対策にも繋がるのかもしれない、と感じます。千里の道も一歩からと言いますが、お子さんとの毎日の会話も、背伸びはせずとも高い目標を目指して、しっかり積み重ねていきたいと思います。

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日本多読学会児童英語部会秋のセミナー

11月18日、長女と共に日本多読学会児童英語部会秋のセミナーに参加させて頂きました。

講師歴20年以上クラスのベテランの英語講師の方々が日頃学校や塾で実践されている学習活動のご様子を惜しみなく発表して下さる貴重な機会なので必ず出席して勉強させて頂いております。

この日は金沢学院大学教授、東京大学名誉教授の岡秀夫先生より、日本の小学校における英語教育、2020年から始まる英語の新指導要領について、CEFR(セフアール:欧州で用いられている言語能力評価基準)と関連させた詳しいお話を伺う事も出来てこちらも大変勉強になりました。

岡先生は色々な公立小学校の英語の授業を視察されているそうですが、組織だった教員研修が功を奏しているそうで、学校の先生方の授業を高く評価していらっしゃいました。

2020年から新指導要領の下で、小学校の英語の授業も大きく変わる事が決まっています。3,4年生から体験授業として英語に触れ始め、5,6年生になると英語が教科へと格上げされ、成績がつくようになるというものです。

岡先生は、この新指導要領において①知っているだけではなく使えるところまで期待される知識・技能、②「Why」や比較などが要求される質問に答える事ができる思考力、判断力、表現力、③質問に答えるだけでなく主体的、前向きな学習に取り組む態度…が評価のポイントになると解説されました。

そして、そこに関連してCEFRについてのお話がありました。CFFRとは多くの移民が居住するヨーロッパで広く用いられている言語能力の評価基準で、Can Do「~することが出来る」という評価項目で成り立っています。読む、聞く、書く、話すに加えインタラクション(やりとり)が含まれているところも大きな特徴で、新指導要領で目指す英語の授業を評価するのに適していると感じました。

今まで様々な英語塾のやり方を見たり、英語講師の先生のお話を伺ったりしてきましたが、その内容は人によって驚くほど違い、先生の数だけ英語教授法の数があると言っても過言ではなく、評価方法もまたいろいろです。

しかし公立学校においては、その評価の基準が学校によって違ってはいけないでしょうから、CEFRのような基準は非常に有用でしょう。文科省内でもこれを参考に議論を進めているとの事でした。

ただ、CEFRの評価基準は下からA1 A2 B1 B2 C1 C2の6段階に分類されているのですが、一番下のA1が英検3級レベルで、小学校の英語の評価には使えません。

そこでPre-A1という分類項目を加えた日本型CEFR(http://www.cefr-j.org/)が作成されたそうで、その一端を紹介していただけました。

①アルファベットの大文字がランダムに読める

アルファベットの小文字が順番に読める

自分の名前が英語で書かれた札が探せる

簡単な単語が先生と一緒に読める。

②アルファベットの小文字がランダムに読める

頻出する単語が探せる、読める

短い文が先生と一緒に読める

③頻出する単語や3~6語からなる簡単な文が読める。

曜日、12ケ月、数字などの単語が書かれているカードを順番に並べられる。

以上を5,6年生までに出来るようにするといったものでした。

知識の面では難しくはないので、やはりその知識がどう運用されているのかが問われるようになるのでしょうね。例えば曜日の名前を言えるだけでなく、自分の一週間のスケジュールを説明して、一番好きな曜日、その理由、聞かれた事に答えるだけでなく感想を付け加えて返事をする等、そういった事が評価の対象として観察されるのではと想像しました。

英語もそんな風に使いながら勉強する方が、子どもたちもきっと楽しいですよね。新指導要領が楽しみになってきました。

成城楓塾でも、常にこうした流れの変化を頭においた多読を心掛けたいと考えています。

成城楓塾の多読では、まず絵を見ながらどういう内容なのか推理して話してもらうようにしているのですが、お子さん達はみんな自由にのびのび思った事を発言しています。多読ノートには本当に面白い感想がいっぱいです。こうしたことは新指導要領における「前向きな態度」の土台だと思うので、これからも丁寧に続けて行きたいと思った次第です。

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HAPPY HALLOWEEN 2018

10月の最終週、成城楓塾はハロウィンウィークでした。

バルーンを飾ってお部屋をいつもの違う雰囲気にして子ども達を迎えました。コスチュームをつけて普段通りに勉強や英語やピアノの練習をするという地味めなイベントなのですが、みんな楽しそうに過ごしてくれました。

おやつはハロウィンスペシャルの不気味美味しいモンスターティラミス。スカルのチュッパチャプスは食べ放題にしました。目玉ゼリーはグロ過ぎたのかウケが悪かったので初日以降はフルーツポンチに変更。夕ご飯はモンスターバーガープレート!最終日、男の子たちが大騒ぎでバルーンを割って、HAPPY HALLOWEEN!!!     今年のハロウィンは無事終了です。ささやかなイベントでしたがみんなの楽しい思い出の一つになってくれれば嬉しいです。

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ありがとう

1年生の男の子にピアノのレッスンをしていた時のこと。

ギロックのピアノメソードという楽譜の中の『ちゃ色の木の葉』という4小節の曲を練習していました。

初級者用とはいえギロックなので、きれいな伴奏がついてとても素敵な曲です。

「茶色の木の葉って書いてあるから、きっと季節は秋だね。秋の曲なんだろうね。R君は秋って言ったら何を思い出すかな?」

「保育園の時ケンタ先生と遊んで楽しかった事を思い出す。」

「そうなのね。じゃ、ケンタ先生と遊んだ時の事思い浮かべながら弾いてみようか?」

「うん。ケンタ先生のこと沢山思い出したいから10回弾く。」

そう言ってこの曲を10回、丁寧に丁寧に弾いてくれました。

その音からR君がケンタ先生と楽しく遊んでいるイメージがありありと伝わってきて

それが本当に美しい光景で、

私は一緒に伴奏を弾きながら感動して涙が出てきそうになりました。

素敵な音楽を 有難う。

先日、ご見学にいらしたお母さまに成城楓塾の事を説明していた時のこと。

居合わせた子どもたちが会話に入ってきて

「ここね、他のところと比べたら天国だよ。」

「おやつもご飯も量が多いし、美味しいし、お肉も美味しいんだよ」

「本がいっぱいあるし、静かだから集中して勉強できるし、ゆっくり本を読んだり工作したりできるんだよ」

「いつも清潔でちゃんと掃除がしてあるんだよ」

「先生は生徒の意見を聞いてくれるし、日常会話の中でいろいろ大事な事も教えてくれるんだよ!」

・・・と口々に言ってくれたのです。

胸が熱くなりました。

嬉しかった。

有難う。

これからも頑張ります!!

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2018 成城楓塾夏休みDiary

7月〇日

2年生からコツコツと多読を続けてきた5年生さん、今日で1000冊を読了したので表彰状を進呈しました。本当に努力家さんで勉強も自由研究も頑張っているし、英語スピーチコンテストには複数回優勝、入賞。この前の英検では準2級に合格。すごいね!これからもHappy Reading!!

7月〇日

35度を超えるような猛烈な暑さの日が続いているので、おやつはかき氷。氷をゴリゴリやり出すと必ず子どもがワラワラと寄ってきて「やらせて!」。どの子も一回はかき氷機のハンドルを回してみたいらしい。何種類かの手作りの氷みつを用意していますがイチゴ味が圧倒的に人気です。

8月〇日

長女と一緒に日本多読学会に参加。そこで伺ったSEGの古川先生の発表はEvidence-Basedでとても信頼のできるものでした。中1からORT1レベルから多読を始めた生徒が高3でYale大学に合格するまでの記録が開示されていましたがやはり「最初は易しいものからゆっくり(具体的にはYL0.1~0.6で300冊、5万語程度)」が肝要のようです。また同じ本を、読み方を変えながら(イラストに集中、シャドウイング、CDに合わせて音読 筆写等)複数回読む事が、より理解度を高めるやり方として推奨されていました。3回読んだら語数も3倍にするとのこと。YL0.1~0.6の教材は何十秒かで読み終わるので沢山必要なのですが、市販されている数がとにかく少なく、これが「易しくゆっくり」進めるにあたって悩みの種でした。早速取り入れていきたいと思います。

8月〇日

この日は4年生女子だけだったので映画『キューティブロンド』を観ました。ブロンドの可愛い女の子エルがボーイフレンドを追いかけ一念発起してハーバードのロースクールに入学し、頓珍漢なことをやらかしながらも活躍するサクセスストーリーです。

久しぶりに観たのですが、私は序盤、彼女が自分の卒業論文(水玉模様の歴史)が高く評価された事、成績はオールAだった事に加え、校外活動にも熱心で女子寮で信頼されているリーダーだったこと等を大学に提出したビデオの中で(ビキニ姿で)猛アピールして合格を掴んだ事が心に残りました。

欧米の大学入試では学力テストの他に、こんな自己アピールが必須で、学校の成績に加え学外の活動も非常に重要視される、そしてこうした課外活動の記録はポートフォリオとよばれ、シッカリ者のお母さんは子どもが小学生の時から他の子と差がつくポートフォリオ対策に余念がない・・・という事を最近知ったからです。

『キューティブロンド』でのビデオアピールはもちろんギャグなわけですが(コッポラが制作したことになっていた!笑)これが本場(?)のポートフォリオかと強く印象に残った次第です。

次女が私立医大を受験した時、ある学校の二次面接試験で「今まで打ち込んできた事を示すものを持参せよ」という指示があったのですが、これも今から思うとポートフォリオを入試に取り入れていたのですよね。

ところが我が娘の場合、これと言ったものが何もなく本当に困り果てました。ちゃんと充実した学校生活を送っていたと思うのですが、スポーツが苦手で特別にリーダーシップがあるタイプでもなかった為、こういうところに書いたり提出できる形になっているものが一つもなかったのです。結局、中学から続けていた多読ノートと(無駄に上手な)イラスト描きで作成した世界史ノートと自分が執筆した学校新聞を持参したのですが、これでよく合格が頂けたものだと今考えても冷や汗が出てきます。

医学部に限らず他学部でも正式に大学入試に ポートフォリオ(Japan-e-ポートフォリオ)を取り入れる大学が徐々に増えているそうですね。

自然体で過ごしながらこういうところに書き込める内容が蓄積されるのが一番ですが・・・皆様、わたくしの轍は踏まないようくれぐれもお気をつけ遊ばせ!

8月〇日

午前中の塾の夏期講習を終えてお昼ごろに到着する子が複数いるのでランチタイムの話題は塾での出来事が多くなります。この日、5年生さんが国語の授業で「なぜ学ぶのか」という課題文について勉強してきたそうで、他の子にその内容について話していました。大量の課題をこなす必要がある中学受験、子ども自身がなぜ学ぶのかという子どもなりの哲学を持って臨むか否かでその意味は全く違ってくるでしょう。さすがに実績のある塾は深く考えているものだと思いました。

8月〇日

ネットでミネルバ大学の学生日原翔君のエッセイを読んでこの大学に興味を持ち、『世界のエリートが今一番入りたい大学ミネルバ Minerva Schools at KGI』を読了しました。ミネルバ大学は2014年に開校したばかりのキャンパスがない(!)オンライン大学。なのに、既に超難関エリート大学となった、知れば知るほど驚きの連続の学校です。

人が最も効率よく学習するには①脳を通常より負荷をかけた状態で稼働させる ②繰り返し練習ができる場で学ぶ ③能動的に授業に参加できる状態 が必要とし、この学習環境を実現するアクティブ・ラーニング・フォーラムなるオンラインシステムを独自に開発。これを使って授業は事前に提出した課題について19人以下でディベート形式。定期テストはなく授業中に誰がどのような意見をどれくらい積極的に発言したか等を情報技術を活用して評価。学生たちは4年の間共同生活をしながら世界七都市を順に居住し、それぞれの場所で企業インターンや地域のプロジェクトに携わりながら多様性、異文化を実体験する。(!!)

うーん凄い。

元々才能がある上にさらにこうして鍛え上げられたミネルバ大学の学生さん。直接会った人やミネルバの学生の同級生たちへの印象はと言えば、学ぶことに積極的で同時に親切で謙虚でもあるそうで、こういう人は地球のどこに行っても仕事ができそうですね。

ミネルバ大学の入試はSAT、TOEFL、事前課題エッセイは不要、検定料も無料。高校時代の成績を重視、それから創造性、計算、読解、推論、文章表現、口語表現の試験を通して潜在的な思考、コミュニケーション能力の評価をおこなうセクションがあり、そしてやはり高校時代の課外活動が重要視されているそうです。これまでに3名の日本人が合格しており、そのうち一人はインターナショナルスクールでもなんでもない一般の公立高校の生徒さんだったそう。

最近のニュースでは日本の大学の不正問題がずっと取り沙汰されていますが、世の中にはこんな新しい、しかもとても爽やかな風が吹いているのですね。いつもこうした風も感じながら生徒さんと向き合っていきたいと思います。

夏休みも残り少なくなってきました。皆様、最後の一日まで充実した毎日をお過ごし下さいね!!

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映画『Most Likely to Succeed』を観て①

先日、Future Edu Tokyoによる『Most Likely to Succeed』の上映会に行ってきました。

「AIやロボットが生活に浸透していく21世紀の子ども達にとって必要な教育とはどのようなものなのか」というテーマのドキュメンタリー映画です。

メモを取るのも忘れて見入っていたので不正確なところもあるかもしれませんが、大変素晴らしい映画だったので自分の記憶を頼りにあらすじと感想を書いてみたいと思います。

映画は、アメリカの小学校に通う一人の女の子が授業に集中できず、退屈して過ごしている様子から始まりました。先生が前に立って話し、生徒は机に座って話を聞くという日本でもごく一般的に行われている授業スタイルです。

この授業スタイルは1800年代、プロイセン(ドイツ)が、より強く従順な軍隊を作るために考え出した教育システムが原型で、アメリカがこれを取り入れたのは、工場を効率よく稼働させるため。同じ知識、技能を有する標準化された人材を沢山育成したいというニーズに合致していたからなのでした。

1900年から2000年の間、この学校教育を受けた人達が困る事は、ほぼありませんでした。大学を卒業すれば就職し、家を買って家族を養い、人生を全うできる時代がしばらく続きました。

が、AIやロボットの出現で多くの仕事が消滅した事により、それはもう過去の話となりました。

今、必要とされているのは工場の働き手ではなく、新たな仕事を創り出す事ができるクリエイティブな人材です。ところがアメリカの学校は依然として100年前と同じ教育スタイルを続けており、結果、企業は人材不足に悩んでいるのです。

そうした状況の中注目されているのがカリフォルニア州サンディエゴの公立チャータースクール(学費が無料でユニークな教育を受ける事ができる学校)、High Tech Highです。映画ではこの学校の様子をじっくり取材していました。

授業の初日、指示通りに机と椅子を並べる事にさえ戸惑う高校生達。先生が意見を求めても教室はシーンとしています。アメリカの学生は自分の意見がしっかりと有り、ディスカッションも得意というイメージがあったので意外でした。

この学校の先生は生徒に自分の考えた自由なカリキュラムやらせて良い事になっています。その一方で一年契約です。これにも驚きました。一年契約で良い人材は集まるのでしょうか。

しかし先生方が生徒達に提案したプロジェクトは素晴らしいもので感動しました。それは「グループに分かれ、一年かけて世界の様々な文明がどうやって始まりなぜ滅亡したのかを学ぶ。そしてそれを表現する作品を作り発表する」というものだったのです。

地理、天候、政治、経済、そして人間の心について・・・多くの事を考えなければこのレポートをまとめる事は出来ないでしょう。そこには、最初とはうって変わって生き生きと話し合ってる生徒達の様子がありました。まさにアクティブラーニングです。

次に自分達の考えを表現する段階になります。映画ではコンピューターを使ってデザインした歯車を組み合わせた作品を作るグループの生徒と、演劇を計画したグループの生徒に密着していました。

このプロジェクトは保護者、地域住民に発表することになっています。ところが生徒同士の意見はなかなかまとまらず、段取りも悪く、果たして期日に間に合うのか、観ているこちらもハラハラするカオスな状況です。

でも生徒達はそれを乗り越え、出来上がった作品は大変ユニークで素晴らしいものでした。歯車の作品は今まで見たことがない独創的な芸術作品でしたし、演劇のプロジェクトは、ある文明を現在の中東情勢に置き換えた非常に興味深い試みでした。

同時にこの実体験を通して生徒たちの問題解決能力、チームワーク、忍耐力、リーダーシップ、時間管理能力といったソフトスキルが成長していくのが分かりました。

この生徒達が将来社会人となって未知のクリエイティブなプロジェクトを与えられたら、きっと水を得た魚のように活躍すると思います。そして世界のさまざまな問題で困っている人に有効な支援を出来る人材にもなり得るでしょう。

これこそ「AIやロボットが生活に浸透していく21世紀の子ども達にとって必要な教育とはどのようなものなのか」という問いの一つの答えだと感じました。

続く

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映画『Most Likely to Succeed』を観て②

ではHigh Tech Highがない日本の子ども達はどうしたらよいのでしょうか。日本にもモンテッソーリスクールやいくつかのインターナショナルスクール等、こうした学校に近い学校はあると思います。

でも実はこの映画を観終わって思った事は、「うちの子達の学校もこんな感じだった」という事だったのです。二人共に幼稚園から高校まで私学の一貫校に通っていたのですが、「大人は仕掛けて待つ」という空気がいつもありました。横文字の名前こそついていませんでしたが、アクティブラーニングからソフトスキルを培うことを目標にしたカリキュラムだった思います。

こちらに来ているお子さんの話を聞いていると、勉強第一!(に見える)私学でもやはりソフトスキルの向上を念頭に置いた取り組みを沢山やっています。公立小もいろいろ工夫しているなと思うところがあります。

「これからの社会を生き抜くにはIT知識とソフトスキル。だからどこかに行って身に着けなくちゃ!」という考えもありと思いますが、今通っている学校のカリキュラムを新しい視点で見直して存分に利用してみるのも一つの方法かもしれません。

また学校以外の場所、例えば家庭、そして放課後活動の中でも出来ることは沢山あるのかもしれません。成城楓塾ではこれからはより一層、普段の生活の中からソフトスキルの向上を意識して出来ることはないか、考えながらお子様と接していきたいと思います。10年後、ごく普通の学校を卒業した日本の子が、High Tech Highのような学校の生徒に全く引けをとらず、いきいきと元気に活躍をしてくれたら素敵だな。

成城楓塾の新しい夢が増えました。

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成城楓塾の夏休み

成城楓塾は、月曜日から金曜日、朝8時から夜11時まで、お子様のお預かりを承っております。

成城楓塾では、お盆期間(8月11日~17日 ※17日は東京都によるアレルギー緊急時対応研修日)を除く月曜日から金曜日、朝8時から夜11時までお子様のお預かりを承っておりますので、どうぞご利用下さい。月に1回、週に1回、また不定期のご利用も承っております。

定員は一日六名様。いつも通り明るく静かな環境をご用意してお待ちしています。
お一人お一人のお子様が、工作や読書を楽しんだり英語多読や学校の宿題、塾の課題に取り組んだりしながら充実した一日が過ごせるよう、保育者二名で丁寧にサポートさせていただきます。塾などの中抜けもご相談ください。(中抜けしている間の料金はかかりません。)
お昼ご飯、おやつ、夕ご飯のオプションもご利用ください。

日頃の食事内容や活動の様子はhttps://twitter.com/seijokaedeでも毎日発信しています。そちらもどうぞ御覧ください。お問い合わせはtakakok@chive.ocn.ne.jpまでお願い致します!

 

①多読について

先日、NPO多言語多読が主宰する多読支援者養成講座がおこなわれ、成城楓塾で多読支援をしている長女と二人で参加させて頂きました。

辞書を使わず、面白く読める簡単な英語絵本をたくさん読みなさいという多読。楽しく読みたい本を読んでいるだけで留学するわけでもない。それなのになぜ英語力が向上する生徒が現れるのか?

この現象は、英語教育者の中でも注目され、研究対象となっています。

この日の講座の講師は、都内有名進学校で帰国英語科主任をお務めになり、その他の中高一貫校の多読アドバイザーも兼任しながら、多読の実験講座を実施されたことがある先生でした。

『多読的アプローチを支える言語論』というタイトルで、そもそも言語は、ヒト特有の認知能力を使って20年もの時間をかけて。他のヒトと生活する環境の中で、必要にかられて習得するものだ、とお話しされました。

ヒト特有の認知能力とは、一つは自分と他者の心を感じる能力。二つ目は言葉を何度も聞いているうちに、そこから普遍的な言語をつかみ取ることができるという、パターン認識能力。

絵本を読むことによって、絵をじっくり見ながら物語に入り込み、自分と他者の気持ちを感じることができるし、繰り返し同じ言葉を聞く体験もできる。
つまり、絵本を読むことは、言語を習得するために必要な認知能力を使い、鍛えることになる。
だからこそ、英語絵本をじっくりたくさん読むことが、英語力をつけるために有効なのだ、というお話でした。

絵本を読むのが子どもにとって良いということは、もちろん経験的に知っていましたが、そういうメカニズムがあったのかと非常に勉強になりました。
日本語の絵本を読んでいても同じようなことが起こるのだろうと思います。

また多読はmassive input、つまり大量に読むことが必須であること、言語の習得には関係性、言葉を使う目的が必要で、そのために絵本の読み聞かせ、サマリートーク、ブックトーク(自分が読んた本について話し合う)が有効であるというお話がありました。

私は以前、一人で通って一人で読むスタイルの多読講座に通っていましたが、せっかくの素晴らしい蔵書の中からどの本を読んで良いのか分からず結局挫折しました。

一方NPO多言語多読は、毎回グループに参加するスタイルで、時間の終わりには必ずブックトーキングがあります。不思議なもので、ネットで検索しても興味が湧かなかった本が、目の前で人が紹介してくれると読んでみたくなったりする事が多々あり、何度も「読みたい本が見つからない」という状況から救われ、多読を継続できています。

依存症やグリーフケア等、困難な状況を乗り越えるために経験者でグループを作って活動することはピアサポートと呼ばれていますが、ブックトーキングもピアサポートに近い面があるのかもしれません。

現在多読は、読むだけでなく、多視聴(英語の動画を字幕なしで視聴する)、シャドウイング(聞こえた通りの音をそのまま発音する)、多書(間違いを気にせず一定時間ひたすら書き続ける)・・・といったさまざまな方法を並行しておこなう事も奨励しており、さらなる進化を続けています。(そのため多く読むだけの多読と区別してtadokuと表記するようになってきつつあります。)

ブックトーキングのようなグループのサポート力を利用する事も含めた、こうした多読からtadokuへの広がりは、言語の習得についてより深く考えればこその進化であり深化でもあると感じました。

最後に多読の定番となっているOxford Reading Treeシリーズがなぜ教材として優れているのか、その理由等を話し合い、その折には長女も積極的に発言し、経験に基づいた説を唱えていました(これについてはまた改めて書こうと思います)。

成城楓塾の多読では、子どもに注意深く選んだ良い教材を提示して、まず絵をじっくり見ながらストーリーを構築して楽しんでもらい、その後に音声を聴くようにしています。上述の二種類の認知能力の刺激となるように、これからもこれらを丁寧に行っていきたいと思います。

また、今も音声を聴いた後、多読ノートに感想を自由に書いてもらっているのですが、これがサマリートークやブックトークのような効果を発揮するように、これからも工夫しながら続けていきたいと思います。

続く

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②なぜ成城楓塾では多読を取り入れているのか。

多読支援者養成講座の一週間前、NPO多言語多読の多読祭りがあり、私と長女はそちらにも参加させて頂きました。

地方からいらした方、小さな子どもを連れた若いご両親等で大盛況の中、多読の創始者であり、「辞書をひかない」「簡単な絵本から始める」「わからない文法や単語にはこだわらずに読み進める」「つまらないと思ったらやめて別の本を読む」という多読三原則を提唱しつつ、さらに多読をtadokuとして発展させていらっしゃる酒井邦秀先生ご自身から、このメソッドが生まれた経緯を伺いました。

1980年代当時、酒井先生は大学の英語教員として学生に英文の論文を配布し、それを順番に精読させるというオーソドックスな授業を実践されていたそうです。

ある年度初め、英語の科学記事を配布し、訳しながら解説するという授業をおこなったところ、学生から、「こんな難しい英語がわかるんだったら、僕達はここにいません」という意見が寄せられたそうです。生徒さんの英語力を向上させるため日頃から工夫を重ねていた先生にとって、この言葉はショックなものでした。

考えあぐねた酒井先生は、次の授業で、ご自宅に持っておられた沢山の英語絵本を教室に持って行き、こうおっしゃったそうです。

「先週の私の講義が分からなかった人はこれから1年間、講義中こういう絵本をずっと読んでいていいよ。その代わり成績は「可」にします。今まで通りの講義を受けたい人は普通にテストを受けてもらって成績はその点数により優、良、可のどれかになります。どちらか好きな方を選びなさい」

それを聞いて半分の生徒が今まで通りの英語の講義を選び、残り半分の生徒が毎週の講義中、酒井先生が持ち込んだ英語絵本を自由に読むようになりました。

すると、絵本を読んでいるグループの方がずっと熱心に英語に触れているように見えた 上に、一年後には、こちらのグループから、大人向けの洋書を読み出す生徒が二人も現れたのだそうです。

これまで長い間、英文和訳や解説をする講義を行ってきた中で、自主的に洋書を読む生徒など一人も現れなかったのに、指導もせず、好きに絵本を読んでもらっていただけのグループから、自ら洋書を読む生徒が現れた、という予想外の出来事が、多読の研究を始めた発端だった、とのことでした。

生徒の英語力を向上させたいという情熱に加え、冷静な観察力がなければ、こういう気付きはなかったでしょう。さらに、そこから研究を始めて、多読というメソッドにまで発展させた行動力と創造力は本当に凄いと思います。

1997年、SEGという塾が、この多読の講座をスタートさせました。

SEGは中高生の為の大学受験の有力塾です。そういうところが料金をとって、『辞書をひかず、単語や文法にこだわらず簡単な絵本から楽しんで読もう。面白くなかったらすぐにやめて、いつも楽しく読める本を読みなさい』という多読を取り入れたのは非常に思いきった判断だったと思いますが、大学入試にも通用する英語力の向上が実証され続けているからこそ、現在に至るまで定着しているのでしょう。(現在SEGはNPO多言語多読とは別の団体として多読の実践をおこなっています。)

私の娘二人もSEGで多読に出会いましたが、やはり大学入試に非常に役立ったと感じています。でもだから成城楓塾で多読をやっているのかと言えばそれは少し違うのです。

多読の効用は英語の受験勉強だけに全くとどまりません。

母国語ではない言語で書かれた本を読むという事は異文化を体験すること。日本に居ながらにして英語圏の人の思考にじっくり触れ合えるのは非常に興味深く、得難い機会ではないかと思います。日本が世界からどう見られているのかも直に知る事ができますし、他国が世界史等で教わるよりずっと興味深い身近な存在になる事もあるでしょう。逆に世界史がとても面白くなったりする場合もあるのではないでしょうか。(娘は理系でしたが世界史が大好きになり、センター入試でも敢えて世界史を選んだほどでした。)

もちろん歴史や比較文化的な視点を抜きにして、人間として「出合って良かった!」と感動するような本もたくさんあります。英語の本が読めるということは感動の機会が倍以上に増え人生をより豊かにしてくれる事だと思っています。

さらに娘二人が多読を続けるのを10年以上、そばで観察してきた者として、多読の一番好きなところはと聞かれたら「自分の読みたい本、楽しいと思える本を読むのが一番良いんだよ!と継続的に励まされる結果、英語だけにとどまらない能動的な学習態度、自主学習力を鍛えられるといった大きな副産物も得られること事」と答えます。

これはこれから成長していく子どもにとって何よりも必要なものなのではないかと思うのです。

このような理由から成城楓塾では学童保育でありながら多読を取り入れています。そしてこれからも丁寧に続けていきたいと考えています。

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