子どもの科学的態度の芽生え

ある日、子どもに聞かれました。

「紙を半分に切って、それをまた半分に切って・・・って何回もやっていったら紙はどうなるの?」

私には分からなかったので、理系の研究者である知人に答えてもらいました。

「どこかで紙じゃなくなるんだよ。紙はセルロースという分子からできていて、その分子1つまではぎりぎり紙の性質を持っているけれど、その分子を切ったらもはや紙ではなくなってしまう。グルコースというブドウ糖になってしまう。そうなると紙の性質はなくなってなめたら甘くなっちゃうんだ。」

「何万回切ったら紙じゃなくなるの?」

「何万回もじゃないな。おそらく80数回くらいだと思うよ」

「何で80数回だってわかるの?」

「アボガドロという人が、物質の中に何個分子が入っているかを実験で確かめたからさ」

「僕も80回紙をハサミで切ったらブドウ糖ができる?」

「分子はハサミじゃ切れないんだ。分子を切ることが出来るのはハサミじゃなくて酵素っていうものなんだよ。紙をブドウ糖になるまで切るにはセルラーゼっていう酵素が必要なんだな。人間は紙を食べられないけど紙を食べられる動物がいるよね?」

「山羊!」

「そう、山羊はそのセルラーゼっていう酵素をもっている腸内細菌がお腹にいるから紙を消化できるんだよ」

全く予想していなかったであろう話の展開に目を丸くして聞き入っている子ども達・・・。私は子ども達のこういう顔を見るのが大好きなのですよね。

その数日後、子ども達が遊びながらワイワイお喋りしているのを聞いていたら

「・・・じゃあさ、そこに行くまでに無量大数(むりょうたいすう)くらい日にちがかかるんじゃない?」

「それは違うと思う。すごい大きい数だとは思うけどちゃんと計算したら普通に分かる数字がでてくるはず。」

「そうだよ、そういうのって計算できるんだよ。」

と話が進んでいるのです。これは科学的な態度の萌芽ではありませんか。

すごいですね。子どもって日々成長しているのですよね。

だからこそ日常生活が本当に大切なのだと改めて思います。これからも子ども達が豊かに元気に幸せに過ごせる空間をしっかり作りながら、それぞれの小さな芽生えを大切に育んでいきたいと思っています。

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#学童保育