日本多読学会児童英語部会秋のセミナー

11月18日、長女と共に日本多読学会児童英語部会秋のセミナーに参加させて頂きました。

講師歴20年以上クラスのベテランの英語講師の方々が日頃学校や塾で実践されている学習活動のご様子を惜しみなく発表して下さる貴重な機会なので必ず出席して勉強させて頂いております。

この日は金沢学院大学教授、東京大学名誉教授の岡秀夫先生より、日本の小学校における英語教育、2020年から始まる英語の新指導要領について、CEFR(セフアール:欧州で用いられている言語能力評価基準)と関連させた詳しいお話を伺う事も出来てこちらも大変勉強になりました。

岡先生は色々な公立小学校の英語の授業を視察されているそうですが、組織だった教員研修が功を奏しているそうで、学校の先生方の授業を高く評価していらっしゃいました。

2020年から新指導要領の下で、小学校の英語の授業も大きく変わる事が決まっています。3,4年生から体験授業として英語に触れ始め、5,6年生になると英語が教科へと格上げされ、成績がつくようになるというものです。

岡先生は、この新指導要領において①知っているだけではなく使えるところまで期待される知識・技能、②「Why」や比較などが要求される質問に答える事ができる思考力、判断力、表現力、③質問に答えるだけでなく主体的、前向きな学習に取り組む態度…が評価のポイントになると解説されました。

そして、そこに関連してCEFRについてのお話がありました。CFFRとは多くの移民が居住するヨーロッパで広く用いられている言語能力の評価基準で、Can Do「~することが出来る」という評価項目で成り立っています。読む、聞く、書く、話すに加えインタラクション(やりとり)が含まれているところも大きな特徴で、新指導要領で目指す英語の授業を評価するのに適していると感じました。

今まで様々な英語塾のやり方を見たり、英語講師の先生のお話を伺ったりしてきましたが、その内容は人によって驚くほど違い、先生の数だけ英語教授法の数があると言っても過言ではなく、評価方法もまたいろいろです。

しかし公立学校においては、その評価の基準が学校によって違ってはいけないでしょうから、CEFRのような基準は非常に有用でしょう。文科省内でもこれを参考に議論を進めているとの事でした。

ただ、CEFRの評価基準は下からA1 A2 B1 B2 C1 C2の6段階に分類されているのですが、一番下のA1が英検3級レベルで、小学校の英語の評価には使えません。

そこでPre-A1という分類項目を加えた日本型CEFR(http://www.cefr-j.org/)が作成されたそうで、その一端を紹介していただけました。

①アルファベットの大文字がランダムに読める

アルファベットの小文字が順番に読める

自分の名前が英語で書かれた札が探せる

簡単な単語が先生と一緒に読める。

②アルファベットの小文字がランダムに読める

頻出する単語が探せる、読める

短い文が先生と一緒に読める

③頻出する単語や3~6語からなる簡単な文が読める。

曜日、12ケ月、数字などの単語が書かれているカードを順番に並べられる。

以上を5,6年生までに出来るようにするといったものでした。

知識の面では難しくはないので、やはりその知識がどう運用されているのかが問われるようになるのでしょうね。例えば曜日の名前を言えるだけでなく、自分の一週間のスケジュールを説明して、一番好きな曜日、その理由、聞かれた事に答えるだけでなく感想を付け加えて返事をする等、そういった事が評価の対象として観察されるのではと想像しました。

英語もそんな風に使いながら勉強する方が、子どもたちもきっと楽しいですよね。新指導要領が楽しみになってきました。

成城楓塾でも、常にこうした流れの変化を頭においた多読を心掛けたいと考えています。

成城楓塾の多読では、まず絵を見ながらどういう内容なのか推理して話してもらうようにしているのですが、お子さん達はみんな自由にのびのび思った事を発言しています。多読ノートには本当に面白い感想がいっぱいです。こうしたことは新指導要領における「前向きな態度」の土台だと思うので、これからも丁寧に続けて行きたいと思った次第です。

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