作文指導をしながら考えたこと

中学入試の作文添削指導をしています。

課題は毎回、二つの問題文を読んで各々の要旨をまとめ、それぞれ考えをふまえた上で自分の考えを400字以上440字以下で述べるというものです。他の記述問題も二、三問含めて時間制限は45分です。

二つの問題文はそれ程長くはなく、内容は高度ですが分かりやすい明確な文章です。特徴的だと思うのは二つの異なる考えをまとめた上で、知識の開陳ではなく自分の意見を求めている事だと思います。

私はこの課題をみてドキュメンタリー映画、Most Likely to Succeedを思い出しました。

「AIが多くの仕事を引き受けるようになる将来を見据え、世の中は新たな仕事を創出できる人材を求めている。それは斬新なアイディアを実体験で培った高度なコミュニケーション能力をもって実現できる人…。既存の学校でそういう人材は育成できますか?」と世の中に問いかける内容だったのですが、この作文課題を見ていると、学校は真剣に先々を考えて世の中の流れに対応していると感じます。

時間制限の中で初めて読んだ他人の考えに対する自分の考えを構築するというのは、自分の核がなければ出来ないこと。小学校時代にしっかり勉強し、さらにさまざまな体験を重ね、そこから学んできた子にしか出来ません。それはまさしくこれからの社会に求められる資質だと思います。また複数の考えをふまえた上での自分の考えを他人に分かるように述べる力も、コミュニケーション能力に直結するもの。つまりこの課題はAI社会の中で生き抜く資質を確かめているようにも見えたのでした。

成城楓塾には、毎日の生活の中で自分の思ったこと、感じたこと、オヤ?とひっかかったことをそのまま書いたり、口に出して会話を続けたりすることが出来るような、しっかりした国語力を持ったお子さんが多くいらっしゃいます。そうした子どもたちが次々と読書感想文や自由研究コンクールの全国大会で入賞したり、国語の全国模試で一位をとったりするのを見ていると、日頃の言葉のキャッチボールこそが、こうした記述力を含む課題の対策にも繋がるのかもしれない、と感じます。千里の道も一歩からと言いますが、お子さんとの毎日の会話も、背伸びはせずとも高い目標を目指して、しっかり積み重ねていきたいと思います。

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