アメリカの大学進学説明会を聴いて①

成城楓塾にはバイリンガルの方やバカロレアコースに在籍している方もいらっしゃいますし、そうでなくても海外の学校や就職を選択肢に入れたい人はこれからも増えてくると思うので、そうした方々にも有益なお手伝いができるよう、これからも努力していきたいと思っています。

そこで3月11日に、アメリカの大学に進学する際の基本的な考え方やアメリカ式アドミッションの基礎知識、日米の大学の違いやスカラシップの仕組み等について、水田早枝子さん(TCK Workshop代表)のお話を伺ってきました。

http://www.futureedu.tokyo/events-workshops/2018/3/11

アメリカの大学はリサーチ大学(”University”)とリベラルアーツ大学(”College”)の二つに大別されるそうです。

リサーチ大学というのは、大学院を持つ総合大学のことで、世界的に有名なハーバードやスタンフォード、コロンビアといった有名大学群で、日本(の伝統的な企業)で就職するには非常に有利とのこと。学部教育より大学院教育に力を入れているようです。

リベラルアーツ大学は、大学院を持たない単科大学群で、留学生に対してもケアが手厚く学部教育にも教授がしっかりコミットしており、やる気がある生徒なら大変有意義な四年間が過ごせるとのことでした。ただし日本に帰ってきて就職となると「それって聞いた事ないけど、どこにある大学?」となってしまう事があるそうです。

またお話しの中の「日本の大学入試はスピードスケート、アメリカの大学入試はフィギュアスケート」という言葉がとても印象に残りました。

タイムだけを競うスピードスケートではなく、フィギュアスケートのように曲、振付、衣装・・・全てを総動員して生徒の個性を生かすプレゼンテーションをしてチャレンジするのがアメリカの大学入試・・とのことでした。

けれども私はアメリカの大学入試は日本のAO入試や私立医学部入試と似ているという感想を持ったのです。

アメリカの大学のアプリケーションには高校のGPA(学校の成績)、SAT/ACT(学力テストの成績)、TOFEL(英語力)、エッセイ(自分をアピールする)等が必要だそうですが、日本のAOや私立医学部入試も高校時代の成績や出席日数、部活の参加状況等が重要視されますし、学力や英語力もみられます。エッセイで自己アピールするところも同じだと思いました。

そして、とてもやり甲斐のあるチャレンジだと感じました。

なぜなら自分の子どもが、この方式の大学入試で、学力だけでなく人間的にも大きく成長する事が出来たと感じていましたし、この講演のスピーカ―ご自身が、東大とハーバードの経営大学院を卒業された方で、日本とアメリカの良さを身に着け、世界を視野に入れて起業し活躍されている姿がとても魅力的だったからです。

私が帰国子女やインターナショナルスクール生の親だったら、あんな風になって欲しいと思ったかもしれません。特別に英語を鍛えているお子さんが、適切なアドバイスを受けつつ計画的に準備を進めれば、アメリカの大学進学は不可能でも何でもないと思います。

ただ、やはり英語力が相当に高いバイリンガルの人でもアメリカの大学を卒業するのは決して簡単ではないという事でした。特にリサーチ大学の方は、必死に勉強しても三人に一人が卒業できない現実があるそうです。厳しいですね。

ですから日本のごく普通の小、中、高に通っている人がアメリカの大学を目指すなら、十分な学力をつけ、第二外国語としてしっかり英語を勉強して、大学院留学を目標にする方が得策だと感じました。(日本の大学を卒業してからアメリカに留学した人を数人知っていますが、みんな(帰国子女でも何でもありませんでしたが)無事に有名大学の大学院を卒業して帰ってきています。)

またお話を聞きながら、日本にいながらにして海外の資格を取得するというパターンも増えてくるのかもしれない、とも思いました。たとえば日本の一定の基準を満たした大学の医学部を卒業してECFMGに合格すると、アメリカの医師国家試験(USMLE)を受験する資格を得ることが出来ます。

続く

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